相続通信 6月号
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事業承継税制の緩和

 平成29年度の税制改正として、事業承継税制の要件が一部が緩和されました。今回は、事業承継税制の内容を振り返りつつ、緩和された部分について見ていきたいと思います。

事業承継税制とは

中小企業の後継者が、相続や贈与により先代の経営者から株式を取得し、その会社を経営していく場合には、相続税や贈与税が猶予され、一定の場合には猶予されていた相続税や贈与税の納付が免除されるもので、これにより評価金額が高いにも関わらず現金化できない同族株式を後継者に渡しやすくするというものです。

適用要件

この制度の適用を受けるためには、以下の5つの要件を満たしている必要があります。

1・雇用の8割以上を5年間平均で維持
2・後継者が会社の代表を継続
3・先代経営者が代表者を退任(贈与の場合、役員として残ることは可能)
4・相続又は贈与により取得した株式を継続して保有
5・上場会社、資産管理会社、風俗関連事業を行う会社でないこと

雇用人数の緩和

適用要件の1にある「雇用の8割以上を5年間平均で維持」という部分ですが、今までは「端数切上げ」となっていましたが、この部分が「端数切捨て」に緩和されました。
例:相続や贈与の時に4人の従業員の方がいた場合
現行  4人 × 80% = 3.2人 → 4人 (端数切上げ)
改正  4人 × 80% = 3.2人 → 3人 (端数切捨て)

取消しとなった場合の措置

贈与税の納税猶予の適用を受けている途中で要件に該当しなくなった場合には、猶予されていた贈与税額を納める必要があります。
この場合、今までは暦年課税(贈与を受けた財産の価額から基礎控除額110万円を控除した残額に税率をかける方法)しか認められていませんでしたが、改正により相続時精算課税(贈与を受けた財産の価額から2,500万円を控除した残額に20%をかける方法)が適用できるようになりました。

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