相続通信 2018年9月号
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相続法40年ぶりの改正

 

 7月6日に相続に関する民法等の規定(相続法)の改正が成立し、7月13日に公布されました。約40年ぶりの大きな見直し・改正となります。(施行は来年以降)
見直し・改正された内容(概要)は以下の通りです。

配偶者の居住権を保護するための方策

 被相続人の持ち家に住んでいる配偶者を保護するために「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」という権利が創設された。

遺産分割に関する見直し

 婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産を遺贈・贈与された場合に限って「原則として遺産分割の計算の対象に含めない」とされた。
 また、葬式費用の支払い・相続債務の弁済・相続人の生活費など早急に必要な資金調達のため、遺産分割前の預貯金の払戻しを認める制度として「預貯金の仮払い制度」が創設された。

遺言制度に関する見直し

 全文を遺言者の自筆で書くことが条件となっていた「自筆証書遺言」について、自筆証書遺言に添付する財産目録については自書でなくてもよいとされた。ただし、財産目録の各頁に署名押印は必要。
 また、自筆証書遺言は公的機関で保管する制度は無かったが、一定の条件や手続きのもと法務局に保管する制度が創設された。

遺留分制度に関する見直し

 遺留分侵害相当額を金銭の支払いのみで請求できることとされ、不動産などが絡む複雑な状態を回避できるようになった。
 また遺留分の算定方法が見直され、相続人に対する贈与は相続開始前10年間にされた贈与に限って算入することとなった。

相続の効力等に関する見直し

 法定相続分を超える権利の承継は、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができなくなった。

相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

 相続人以外の被相続人の親族が、無償で被相続人の療養看護等を行った場合には、一定の要件の下で相続人に対して金銭請求をすることができるようになった。

 以上、概略を記述させていただきましたが、相続の場面ではかなり重要なものばかりですので、次号以降で詳細をお伝えしてまいります。

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