相続通信 2019年12月号
HOME >相続通信

会社の後継者・株式の異動問題

 中小企業経営者の高齢化が進み、今後も企業経営を継続していく上での課題が浮き彫りとなってきています。その課題の中でも大きな問題と言えるのが、「後継者」と「株式」です。

 経営者たる「後継者」がいなければ会社経営は続けられませんし、大半の中小企業が「株主=経営者」という状況の中で、評価額が高いと言えども換金できない中小企業の「株式」を承継していく際の贈与税や相続税といった税負担をいかに抑えるかが大きな課題となっています。
弊社の「かけはし」等でも「事業承継税制」については何度かご案内してきましたが、「期間限定の特例事業承継税制」について再度ご案内いたします。
「特例事業承継税制」の概略は以下の通りです。

1.後継者に無税で株式を承継できる

 

①非上場株式等を贈与された際の贈与税は全額猶予(~令和9年12月31日までに贈与)

②猶予されていた贈与税は先代経営者の死亡によって免除

③株式にかかる相続税も納税猶予

 

2.事業承継計画の提出が条件(認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けて作成)

 

①事業承継計画を都道府県に提出(令和5年3月31日までに提出)

②令和5年3月31日までは贈与後・相続後でも提出可能

③会社が一定の要件を満たしていること(資本金や従業員数、事業実態など)

 

3.一般事業承継税制と特例事業承継税制との違い(主なもの)

 

 ①対象株式      一般 → 議決権数の3分の2まで / 特例 → 全株式
 ②相続税猶予対象額  一般 → 80%         / 特例 → 100%
 ③雇用確保要件    一般 → 5年平均80%維持   / 特例 → 実質撤廃
 ④贈与者       一般 → 先代経営者のみ(改正で複数株主も可)  / 特例 → 複数株主
 ⑤後継者       一般 → 1人のみ  /  特例 → 3人まで
                             (10%以上の持株要件あり)

 

 以上のように、この特例事業承継税制の内容は大きなメリットがあります。

 特に、後継者が決まっている又は既に後継者が代表者になっている、株式の評価額が高く移動の際の税負担が大きくなる場合には、この税制を使わない理由は見当たりません。ただし、前述の通りこの特例事業承継税制は期限付きとなっております。

  弊社からも随時個別にご案内させていただきますが、さくら中央会計は「認定経営革新等支援機関」となっておりますので、事業承継計画の作成・提出から税務関係の手続き・申告、一定期間中の報告手続き等を一貫して行えますので、是非ともお早めにご相談ください。

お問い合わせ