相続通信 2019年4月号
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個人版 事業承継税制

 平成31年度の税制改正において、個人事業者に対する事業承継税制が創設されます。
個人事業者の場合、事業用資産はその事業主個人の財産であるため、その事業の後継者に無償で譲渡すれば贈与税の対象となりますし、事業主が亡くなった場合には相続財産となるため相続税の対象となります。
 事業用資産の価額が少額であれば大きな問題にはなりませんが、事業に利用している土地や建物、機械や備品、車両運搬具などが高額なものであれば、贈与税や相続税が課税される可能性があります。
 事業用資産に対して高額な税金が課税されてしまうと、納税資金確保のため事業用資産を売却せざるを得なくなったり、納税によって事業資金が不足してしまったりと、事業継続そのものが危うくなる可能性が出てきてしまいます。
 そこで、この「個人版 事業承継税制」により、生前の事業承継、相続による事業承継の際の税負担を軽くする措置がとられます。 

 

①後継者の事業承継時の納税負担がゼロ

 

 納税額の全額が納税猶予されます。

②様々な事業用資産が対象

 

事業を行うために必要な様々な資産が対象となります。

●土地・建物(土地は400㎡、建物は800㎡までが対象)
●機械装置・器具及び備品(工作機械・建設用機械・厨房機器・医療機器など)
●車両運搬具(貨物運搬用のトラック・バン・バス・タクシーなど)
●生物(乳牛・果樹など)
●無形償却資産(特許権など)
など  

③贈与税・相続税が対象

 

生前の事業承継にかかる贈与税、先代事業主の相続発生による事業承継にかかる相続税が納税猶予の対象となります。

④10年間の時限措置

 

2019年1月1日~2028年12月31日の間に行われる贈与・相続が対象となります。

⑤制度を利用するための手続き

 

●経営承継円滑化法に基づく認定を受ける
●平成31年度から5年以内に承継計画を提出する

⑥比較検討事項

 

本制度と、既存の「小規模宅地等(事業用宅地等)についての相続税の課税価格の計算の特例」とは選択制となります。

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