相続通信 2019年9月号
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法人への相続

 

 相続によって財産を個人だけではなく法人へ渡すことも可能です。今回は、法人への相続についてのメリット・デメリットを見ていきたいと思います。

法人へ相続させるためには

 法人は相続人ではないため、遺言書の作成が必要になります。課税関係等については、以下のことが考えられます。

法人への課税

 相続時の価額(時価)で資産計上しなければならないため、同額が受贈益として利益に計上されます。その為、法人税が課税されます。

 相続人以外が不動産を取得する為、登録免許税が課税されます。また、財産の金額によっては、遺留分の侵害に気をつけなければなりません。

被相続人への課税

 法人へ財産を遺贈(相続)した場合には、法人は納税義務者でないため、その財産部分については、相続財産に含まれず、相続税が減少します。しかし、みなし課税の規定が適用され、時価相当額で譲渡したものとみなして所得税が課税されます。
 被相続人は亡くなられているため、相続人が相続開始の日から4ヶ月以内に上記のことを加味した準確定申告をする必要があります。この場合に、所得税や住民税については、相続財産から控除することができます。(債務控除)

同族会社の他の株主への課税

 同族会社が資産を遺贈により取得すると、遺贈により受けた利益の分だけ株価が上がります。被相続人以外の株主は、その株価が上がった分を相続(遺贈)により取得したものとみなされるため、相続財産が増加し、その結果相続税が増加します。

 相続税は課税されないというメリットはありますが、その他の税金が課税されたり、業務処理が煩雑になったりするデメリットの方が大きい感があります。法人への相続は、きちんとした目的と試算が必要になります。

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